質の良い睡眠を手に入れるためにできる5つのこと
ちゃんと寝ているのに、疲れがとれた気がしないと悩む人は少なくありません。
「寝つきが悪い」「寝た気がしない」「日中に眠気を感じる」など、日本人の5人にひとりは睡眠に不満を持っているそうです。
睡眠には、起きている間に生じた疲れを回復させる役割があります。
そのために重要なのが「質の良い睡眠」をとることです。
質の悪い睡眠をとっていると、十分に疲れが回復できず、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の原因となってしまいます。
ここでは質の良い睡眠を手に入れるための方法を紹介します。
目次
1. 質の良い睡眠ってどんなもの?
「睡眠をしっかりとる=睡眠時間を確保する」ことだと思いがちです。
でも、長く眠ればいいというものではありません。
アメリカでの調査では、6時間眠っている人の方が10時間以上眠っている人よりも、死亡リスクが低いという結果が出ているそうです。
これは、いつも8時間以上眠っている人が6時間睡眠にすれば健康になるという意味ではありません。
睡眠で大切なのは、疲労を回復する力、「睡眠の質」なのです。
睡眠の質には個人差があります。
必要な睡眠時間は、睡眠の質によって変わってきます。
質の良い睡眠とは、疲労を回復する力が強い睡眠のこと。
しっかり睡眠時間をとっているのに、疲れがとれた気がしない場合は、睡眠の質を高めることを考えましょう。
2. 質の良い睡眠を妨げる5つの要因
睡眠の質を悪くしている要因は、大きく5つに分けられます。
老化
私たちの睡眠は、体を休めるための浅い眠り「レム睡眠」と、脳を休めるための深い眠り「ノンレム睡眠」がセットとなっています。
人間は通常、睡眠中に90分周期で4~5回、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しています。
しかし、年齢を重ねるとノンレム睡眠が減るため眠りが浅くなり、その結果睡眠の質が低下してしまうのです。
日中の活動量の減少
よく眠るためには、活動量を増やすことも大切です。
15分程度歩いたり、軽いストレッチをしたりして、日中は活動的に過ごした方が良い睡眠がとれます。
でも、活動的に過ごそうとして、疲れが溜まるほど激しい運動をすると逆効果になるので、運動のし過ぎには注意してください。
寝室の環境
街灯や車のライトなどの明かりが差し込むような環境は、睡眠には適しません。
また、車のクラクションや人の話し声などの雑音が聞こえる状態だと、睡眠の質が下がってしまいます。
遮光カーテンや遮音カーテンなどを使って、光や余計な音が入らない環境を整えてください。
生活音などが気になる場合は、耳栓を利用したり、静かでゆったりした音楽をかけるのも良いでしょう。
就寝前の飲酒
寝つきが悪いから、寝酒を飲むという人は少なくないでしょう。
実はこれは睡眠の質を悪くする原因のひとつです。
確かにお酒には眠りを促す働きがありますが、睡眠が浅くなって、途中で目覚めやすくなります。
また、アルコールがある程度分解されると、逆に目がさえてきてしまいます。
寝酒が習慣化すると、アルコール依存症のリスクも出てきます。
寝つきをよくするためにお酒に頼るのは止めましょう。
病気
就寝中に目覚めやすくなる病気もあります。
例えば、トイレに起きる回数が増える場合は、泌尿器科を受診してみましょう。
足がムズムズする、息苦しい、いびきをかくなどの場合は、睡眠の専門医に相談してみてください。
また、良い睡眠をとっても疲れがとれない人は慢性疲労症候群という病気の可能性もあります。
日常生活に著しく支障が出るような強い疲労感を持つ慢性疲労症候群は、治療が必要な病気なので、専門医に相談しましょう。
3. 質の良い睡眠を手に入れるための5つの方法
①決まった時間に起きる
私たちはおよそ24時間周期の体内時計のリズム「サーカディアンリズム」を持っています。
質の良い睡眠をとるためには、このリズムを整えることが大切です。
週末だからといって朝寝坊していると、サーカディアンリズムが崩れてしまいます。
毎日、決まった時間に起床することで、サーカディアンリズムを整えることができます。
「それでも週末ぐらいゆっくり寝ていたい!」という人にオススメなのが「二度寝」。
決まった時間に起床し、日の光を浴びてある程度活動してから再び寝ることで、サーカディアンリズムを崩すことなく睡眠不足を解消できます。
ただし、寝すぎると夜の睡眠に影響を及ぼすので、仮眠程度にとどめておきましょう。
②寝る時間を決める
私たちの体には、眠りを促す「メラトニン」という誘眠ホルモンがあります。
メラトニンは、太陽の光を浴びてから14~16時間後に分泌量が増えるしくみとなっています。
午前8時に太陽の光を浴びれば、午後10時~12時にメラトニンが増え始め、眠くなります。
寝る時間を決めて、適切な時間に太陽の光を浴びるようにしましょう。
太陽の光を適切な時間に浴びることには、もうひとつ意味があります。
私たちの体内時計の周期は個人差がありますが、平均すると24時間10分。
10分のズレが積み重なることで、サーカディアンリズムが崩れていきますが、太陽の光を浴びることでリセットできるのです。
③ゴールデンタイムを重視する
疲労を回復するのに重要な役割をするのが「成長ホルモン」です。
成長ホルモンは睡眠中に分泌されますが、寝始めてから3時間が特に多いのです。
成長ホルモンが多く分泌される3時間を「ゴールデンタイム」と呼びます。
一般にはお肌や睡眠のゴールデンタイムは午後10時~午前2時と言われていますが、実は時間帯は関係ありません。
眠ってから3時間、質の良い睡眠をとれば疲労は回復しやすくなるので、睡眠をとる時間帯にこだわる必要はないのです。
④布団の中の温度を33度にする
質の良い眠りを得るには、適温があります。
それは布団の中の温度を33度にすること。
室温は冬なら18~20℃、夏なら25~27℃が適しています。
湿度は季節に関係なく、50~60%を保つようにしましょう。
⑤疲労回復効果のある食材をとる
疲れに効く栄養として注目されているのが「イミダペプチド」です。
イミダペプチドは抗酸化作用を持ち、疲労の原因となる細胞の酸化を抑える働きがあります。
イミダペプチドを多く含む食材が鶏の胸肉や、マグロなどの大型の魚の尾びれに近い筋肉です。
こうした食材を積極的にとると良いでしょう。
ただし、寝る直前に食べるのは避けてください。
消化のために消化管が活発に動くようになり、睡眠を妨げてしまいます。
まとめ
睡眠で大切なのは、時間より質です。
質の良い睡眠をとることで、疲れがとれるようになります。
まずは朝に太陽の光をしっかり浴びて、サーカディアンリズムを整えることから始めましょう。
【参考資料】
『40代からの「太らない体」のつくり方』
『スッキリした朝に変わる睡眠の本』